分譲マンションは、現在、全国で466万戸を数え、都市部においては住宅取得の約半数がマンションであるといわれています。これだけ多くの需要がある建物ですが、ご承知のように、区分所有であるがゆえの特殊性や問題を内包したまま、長い間、その運営や修繕方法について十分な議論もないままに推移してきたのが現実です。その結果、約9割の管理組合が、全国2,600社余りの管理会社に何らかの形で業務委託を行っています。
このような中にあって、平成13年に制定された「マンションの管理の適正化に関する法律」は、一般には管理業者の業務規制が大きくクローズアップされていましたが、その本旨は、管理組合が主体的に活動し、より充実した住環境を自ら創生することにあったと私たちは考えています。
事実、相談機関への相談件数の増加や、各種の調査データを見る限りは、マンション管理に対する管理組合、区分所有者の認識は、大勢として高まりつつあると思います。
さて、ではこのような環境の中、これからのマンション管理会社に期待される役割はどのようなものでしょうか。
今も昔も変わらずに期待する役割として根強くあるのは、緊急時の迅速な対応です。当社のマンション管理物件を対象にしたアンケートでも、1番多いのは、半数近いお客様が迅速な緊急時の対応を挙げておられます。
積村ビル管理株式会社は、緊急対応の体制を創業時から自社社員の対応にこだわり、現在も、昼夜分かたず自社の社員による対応を継続していますが、どちらかというと目立たない業務で、しかも経営的には決して効率が良いとは言えない部分を充実させているのは、他の管理会社との差別化という目的もありますが、何よりも、積村ビル管理株式会社が目指す「誠と愛の心で一切に対応せよ」を具現化したものにほかなりません。
一方で、今後、社会的に要求される管理会社の役割としては次の3点に集約されると思います。
- マンション管理業務の専門性、特殊性を認識したうえで、知識や経験を実務に活かせる人材の育成や体制
- 委託業務に捕われない、生活全般に関わるサービスの提供
- マンション管理組合の自主性を最大限に尊重し、自立を促す良きアドバイザーであること
年々増加するリフォーム需要や、超高齢化社会における、生活関連サービスやバリアフリー対策などは、長年の管理実績があってこそ出来る企画・提案があるはずです。
また、阪神淡路大震災に見られた、緊急時にコミュニティが果たした役割を具現化し、管理組合全体と、地域団体や行政サービスをも融合した形でのコミュニティ形成を、側面からバックアップする事も、管理会社の役割として求められていると考えています。
管理組合と管理会社は、車の両輪の関係に例えられます。
一方が早く廻ったり、力が強すぎては、まっすぐに進めませんし、安定もしません。
お互いの存在を認識し、尊重することで、互いに不足したところを補完しあう、そんな関係が理想的ではないかと思います。管理組合が、組合運営や設備の保守、修繕まで、主体的に物事を決め、自ら実行すること、そして、あらゆる問題に正面から向き合い、これを解決するために管理会社やコンサルタントなどにノウハウや知恵を借りるというスタイルが本来あるべき姿ではないでしょうか。
私たち積村ビル管理株式会社は、そのようなスタンスで、管理組合が少しでも早く主体性を持って自立できるように、バックアップしていくパートナーになりたいと思っています。